市民ZOOのメールニュースをブログで紹介することにしました。

せっかくなので?私のコメント入りです。

 

 

 

市民ZOOネットワークメールニュース2023年7月号

スタッフより

 

こんにちは!スタッフの山田倫太郎です。

6月4日に行われた、「市民ZOOネットワークCROSS×TALK動物園の動物福祉をデザインする」に参加しました。
このクロストークは、北海道が拠点の飼育・域外保全技術者である傍ら、未来の飼育係を育成する講師としてご活躍されている本田直也さんと、ニューヨークを拠点に、長きにわたり動物園利用者の体験をデザインする展示ディレクターとしてご活躍されている本田公夫さんのW本田クロストークでした。

前半に行われた本田直也さんの講演は、動物福祉を考える上で現在の飼育係がもつべき考え方や心構えが中心で、全国の飼育係の方必聴の内容でした。
一般人の私が特に印象的だったのが、ヴァスデヴィ・レディが提唱した「レディ論」の概念を飼育の現場に応用するお話です。
レディ論とは人と他者の関わりを次の三つに分けた考え方です。
「自身の観点や立ち位置から、自身・他者・世のものごとを観察する 」

一人称的かかわり。
「他者・世のものごとに対して、誰もがみても明白な事実を拾い上げる 」

三人称的かかわり。
「対象者の立場に立って、その対象の感じかたを共感的に感じ取る 」

二人称的かかわりです。
近年エンリッチメント大賞審査では、三人称的かかわりに近い、科学的態度を重要視しています。これは、評価をする上で客観性と再現性を大切にしているためです。
本田直也さんは、動物福祉を考える上でまず重要なのが二人称的かかわりから動物の感情を知ることだとしています。
私の感想ですが、たしかに、過去のエンリッチメント大賞を受賞した取り組みを振り返ると「動物の感情を知った上で立てた仮説に対して、飼育の工夫を凝らし、後から科学的根拠を評価していく」というプロセスの取り組みからはインパクトが感じられることが多かったように思います。
また、市民ZOOネットワークのスタッフとして印象に残ったこととして、これまでエンリッチメント大賞を受賞した取り組みを大きな目で見ると先ほどの「仮説→飼育の工夫→科学的根拠の評価」の試行回数がn=1にすぎないということです。
つまり、ある動物園の特定の環境化で有用だった取り組みを他園館に広めて、nの数を増やすことが重要であり、それを目的として我々スタッフが取り組みを全国に広めることを意識するべきだと実感しました。

本田公夫さんの講演では、利用者の体験をデザインするお仕事を通じて、アメリカの動物園においてどのような意図でどのような体験をしてもらいたいのか、そのためのデザインの意図が印象的でした。
お二人の講演パートは「飼育現場」と「展示」の裏事情を含めた技術的なお話がメインでしたが、市民が飼育係や展示スタッフが考えているバックグラウンド的なことを理解することで、動物園で飼育されている飼育方法の根拠を考えることができるようになるかもしれません。そのため、このクロストークを市民向けに開かれて開催したことに意味あることだと感じました。
我が国の動物園が目指すべき正しい形を市民の中から作り出すことに繋がればと個人的に思います。

お二人からのそれぞれの講演の後のクロストークのパートでは、アメリカと日本の市民がもつ動物園に対する考え方や動物園運営の仕組み違い、日本国内での動物園への考え方の違いなど思想のギャップがテーマにあがりました。

私は動物園を肯定したポジションをとっているからこそ、市民ZOOネットワークで活動をしています。違う考えの人がいるからこそ、今後議論できる状態にしておくために正しい知識をつけたいです。また、レディ論の紹介がありましたが、自分や相手が「何人称のかかわりから考えを導き出しているか」を意識すると、
いい議論につながるかもしれません。

今回のクロストークについては、参加できなかった方や再度見返したい方のためにアーカイブ動画を販売しております。
詳細は下記の「研究会&イベント情報」をご覧ください。

 

 

くまおコメント

 

先月おこなわれましたクロストーク、かねてからやりたい!と思っていたW本田さんのクロストークでした。美しい展示を通して動物園が伝えたいメッセージとどうぶつ福祉のバランス、がテーマになるかな?と思っていましたが飼育、福祉、倫理、経営・・・あらゆる話題を網羅した内容となりました。

 

少し難しく感じる部分もありましたがアーカイブは何度でも聞くことができますのでじっくり考えながら聞いてみてはいかがでしょう?

 

 

 

 

エンリッチメント大賞2023最新情報

 

■エンリッチメント大賞2023、募集期間を終了しました!

4/15〜6/15の2ヶ月の募集期間で、エンリッチメント大賞2023の応募を受け付けました。
ご応募くださった皆さま、ありがとうございました。

エンリッチメント大賞2023の審査は、現在応募を取りまとめているところで、事務局での作業が終わり次第、
一次審査(書類審査)、二次審査(審査委員会)と進んでいきます。
一次審査が終わりましたら、一次審査通過の園館の皆さまには個別にご連絡いたします。
審査の進捗については随時このメールマガジンなどでお伝えしていきますので楽しみにお待ちください。

※エンリッチメント大賞2023は(公社)日本動物園水族館協会の後援を受けています。

○募集期間
2023年4月15日(土)〜6月15日(木)(当日必着) ※締め切りました
※募集期間にご注意ください。

○応募について
動物園や水族館での動物たちの暮らしを豊かにしていると思われる取り組みをご応募ください。
園館関係者の皆さまからの推薦もお待ちしています。複数の応募も大歓迎です。応募フォームからご応募ください。
http://zoo-net.org/enrichment/award/2023/form.html
※応募の詳細や注意事項については、募集要項をお読みください。

○表彰
動物たちの生活がより豊かになり、エンリッチメントや動物たちの暮らしについて来園者の理解が進むような
取り組みや施設について選考し、「大賞」「正田賞」「その他各賞」をそれぞれの基準で評価し選定します。
発表は【2023年10月ごろ】を予定しています。

表彰式ならびに受賞者による記念講演は12月9日(土)に東京大学弥生講堂で開催予定です。
社会情勢によっては、会場の変更や、オンライン開催、または実地とオンラインのハイブリッド開催などの可能性もあります。

詳細は、http://www.zoo-net.org/enrichment/award/2023/ をご覧ください。

 

くまおコメント

 

募集期間が終わりました・・・!

ご応募くださった皆さまありがとうございました。

ここからはスタッフが頑張ります!すでに熱くて心配ですが

暑い夏、気合いで乗り越えたいと思います・・・!

 

今年の授賞式は

12月9日(土)

毎年12月の第一土曜日でしたが今年は第二土曜日です。

みなさまぜひ予定表に書き込みお願いいたします~

 


■「エンリッチメント大賞2022表彰式・受賞者講演会」
 オンライン開催のご報告とYouTubeでのアーカイブ配信のご案内

2022年12月3日(土)に「エンリッチメント大賞2022表彰式・受賞者講演会」を開催しました。
講演会のようすは引き続きYouTubeでアーカイブ配信しております。
審査委員の川端裕人さんによるトーク「エンリッチメント大賞レビュー2022」と、
大賞・努力賞・正田賞を受賞された皆さまによる受賞者講演の計4編を公開しています。
当日お越しになれなかった方、もう一度講演を聞きたい方は、以下のURLよりご視聴ください。

★市民ZOOネットワークチャンネル★
https://www.youtube.com/channel/UClYn_MSOvm7q1vxkKt6dEqA


■エンリッチメント大賞へのご支援をお願いします

平素よりたくさんの皆さまからご支援の寄附をいただき、ありがとうございます。
今年度も引き続き“コロナ禍”の影響による制約があるなかでの運営となりましたが、
みなさまからのご支援のおかげで、無事に大賞を決定し、表彰式も開催することができました。
毎回のお願いですが、引き続き、来年度以降の開催へのご支援をよろしくお願いいたします。
今年度は目標金額を75万円に設定しておりますが、毎年なかなか満額には達成できず、苦しい運営が続いております。
動物たちのより良い暮らしをサポートするため、多くのお心添えをお待ちしています。

目標金額:毎年約75万円(募集、審査委員会開催、現地調査、表彰式&講演会)
お振込先:
【郵便振替口座】00110-1-56206 市民ZOOネットワーク
【ゆうちょ銀行】〇一九店、当座口座、0056206
(エンリッチメント大賞継続への寄付である旨ご記載をお願いします)

★エンリッチメント大賞特別寄付ページも開設!★
昨年度と同様にクレジットカードでお支払いいただける寄付ページを開設いたしました。
特別寄付ページ⇒ https://award2020.thebase.in/
お寄せいただいたご支援は、エンリッチメント大賞の運営資金とさせていただきます。
ご寄付いただいた方には、お礼として、2023年のオリジナルカレンダーをプレゼントいたします。
(寄付後に画像データをダウンロードいただけます)

★★市民ZOOネットワークでは、環境エンリッチメントの試みを、市民が理解し、評価し、応援する社会づくりを目指し、
今後もエンリッチメント大賞を継続していきたいと考えています★★

 

 

研究会&イベント情報

■市民ZOOネットワーク9月セミナー参加者募集!

日時: 2023年9月2日(土)13:00〜14:30(第一部)/14:30〜16:30(第二部)
場所:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) 東京都渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F
プログラム:
第一部 講演会 「動物園のボランティアが動物学者になった!」
講演者 辻大和先生(石巻専修大学准教授)上野動物園で東京ボランティアーズ(TZV)として活動していた学生の辻大和(つじやまと)さんは、
野生動物の観察と研究を続けて、『与えるサルと食べるシカ つながりの生態学』 地人書館というタイトルの本を出版する動物学者となりました。ボランティア活動をしていた時から現在の研究にいたるまで、ご自身の言葉で「動物園のボランティアが動物学者になった!」のは、どうしてなのかを語っていただきます。
*辻先生のご講演では市民ZOO理事であった故永井和美さん撮影の写真をたくさん紹介いただく予定です!

第二部 動物園水族館ボランティアの集い
全国の動物園・水族館には、ボランティアとして活動している方がたくさんいらっしゃいます。そういう皆さまに集まっていただき、ボランティア同士の繋がりを模索したいと希望しています。

参加対象者:興味のある方はどなたでも(第一部、第二部どちらかだけの参加も歓迎です)
参加費:市民ZOOネットワークサポーター 無料 一般 1,000円
申し込み:以下のURLよりお申し込みください。
https://forms.gle/5R9cW7ZvSUmNYTQGA


■アーカイブ【市民ZOOネットワークCROSS×TALK】動物園の動物福祉をデザインする
2023年6月4日 (日)にクロストークをおこないました。 ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
好評につき引き続きアーカイブの販売をしております。 見逃してしまった方はこの機会にぜひご覧ください。
講師:
 本田公夫氏
  元 Wildlife Conservation Society 展示グラフィック部門スタジオマネージャー
  現The Maritime Aquarium at Norwalk 展示ディレクター臨時代理
 本田直也氏
  (一社)野生生物生息域外保全センター 代表理事
 本田ハビタットデザイン代表 札幌市円山動物園 客員研究員
視聴費:3000円 チケットは下記より購入下さい https://kiringallery.thebase.in/items/75538684


■ワイルドライフカレッジ2023

「1年後の私は野生生物のために何かできるようになっている」を目指し、
1年を通して野生生物の保全を考える“ワイルドライフカレッジ2023”を開講します。
今年のテーマは「市民活動の視点から野生生物保全の理論を学ぶ」。
現在6月に実施する前期ウェビナーの募集中です。ぜひご参加ください!

募集期間:2021年5月12日〜7月31日(録画視聴可能)
開講日:2023年6月 各水曜日(20:00〜21:30)
主催:野生生物保全論研究会(JWCS)
詳細・申込:https://www.jwcs.org/event/2655/


■中村元の超水族館大阪ナイト2023年 『水族館は 未来を救える!』

日時:2023年7月16日(日)  18:00〜(開場17:30)
開催場所:ギャラリーカフェ kirin(大阪)
参加費:3000円
講師:中村 元(水族館プロデューサー)
第一幕 『SDGsと水族館』
第二幕 『日本の世界観を誇れ!』
詳細は下記チケットページをご覧下さい
https://kiringallery.thebase.in/items/74857044

 

くまおコメント

 

市民ZOOネットワークセミナー9月は東京です!みなさまふるってご参加ください。

ボランティアから研究者なった辻先生のお話と各地のボランティアが集まる集いの二本立てです。ボランティアの集いは昨年大阪でも開催し、エンリッチメント大賞の開場では各自の活動を紹介するポスターも制作してもらい展示をしました。ボランティア同士の繋がりがよりよいものになって欲しいなと思っています!

 

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猛烈に熱くなってきましたが、熱中症に気をつけて

7月の動物園を楽しみましょう(・ᴥ・)✨