ここのところ多くのホテルがダイニングにとても力を入れています。今回滞在した『HOTEL THE MITSUI KYOTO』も、フランス帰りのいいシェフがいると聞き、ホテル内のメインダイニング『都季/TOKI』にて食事をすることにしました。
▼リールではイメージ湧くような世界観を動画で表現しましたのでご覧ください▼
浅野哲也料理長は、オランダ、フランスの数々の名店で修業した後、「リッツ・パリ」に勤務。2017年に日本人初となる「リッツ・パリ」のメインダイニング統括副料理長に就任。ミシュランガイドで2つ星を獲得した「エスパドン」をはじめとする、同ホテルのすべてのレストランを総料理長とともに統括されました。2019年12月に「HOTELTHEMITSUIKYOTO」の「都季TOKI」料理長に就任。輝かしい経歴ですね。
ノンアルコールのスパークリングから。ピエールゼロでした。鉄板をいかしたシェフズテーブルのようなライブ感溢れる形でお食事をすることができました。
もちろん緑や暮れゆく景色を見ながら、二人だけの世界に浸れるテーブル席もあるのでカップルの方はご安心を。私の場合大抵男性よりシェフと話が合っちゃうので、シェフズテーブルは恋には禁物なのであります💦
伏見のお白湯
京都といえば水。まずは伏見の水を使った柔らかな白湯が出てきました。体の中を綺麗にしてくれる、京都の自然を感じながらのスタートです。
出汁の要ともなる京都の水。シェフは軟水は短時間で旨味を抽出できるけれど、フランスの長時間煮こんでえぐみのでない水とは違う。水の硬度の違いを理解し、軟水でもミネラル感のある京都の水を生かした料理を作りたいとおっしゃっていました。
〜だしのスナック3種〜
野菜出汁
野菜出汁はトマトを使ったこのトマトの断面を模した料理です。サブレ生地の上にトマトのピュレを重ね、パウダーをかけて。中心はバジルのピュレ。アリッサムが可愛らしく添えられていますね。一口食べるとトマトの旨味がめっちゃ強い。トマトの力強さ、自然の恵を感じてのスタートでした。
魚介出汁
ビーツのスライスで生鮪を巻いた料理。鰹出汁ではなく鮪節を使っています。私は生の鮪が食べられないので、火を入れて上質なツナ状態に(これはこれで旨いョ)。定番を食べていないのですが、ビーツの味わいがきっと私の嫌いな鮪の血の匂いをうまく調和してくれるのではないかと容易く想像できます。
肉出汁
都季のロゴの入ったも最中の中には和牛と菊芋を使ったタルタルが入っていました。なんか京都っぽーい🎵
くぬぎ鱒 西京味噌 いくら
富士山の麓でくぬぎさんによってミネラルを含んだ雪解け水で育てられたくぬぎ鱒。西京味噌でした味をつけ、鰹節と昆布の出汁のゼリーを重ねています。蕪のピクルスの下には鱒の卵などを挟み、捨ててしまうであろう鱒の皮などもパウダー状にして練り込んだ珊瑚のようなクッキーを添えて水の中をイメージしています。
古代米、酒粕、2年熟成した酒粕が登場しました。伊根の向井酒造のものです。2009年に舟屋の景色に心奪われて以来訪問できていないので、またいきたいエリアです。テロワール溢れる料理は、旅情を誘われますね。
京都伊根向井酒造の酒粕 フォアグラ
登場したのはフォアグラと酒粕を使った、京都だけにフォアグラ田楽といっておきましょうか。フォアグラも酒粕に漬けてあるのかな。普通の酒粕と違い、味に滋味がある。こりゃ〜、日本酒をちびちびやりながらが最高な一品。ちなみにお酒の方は伊根満開、ノンアルは甘酒でのペアリングで、器も合わせて紫合わせでした。
ほら、田楽でしょ🎵フロックスポップスターが添えられて美しいですね。
オレンジの香りを抽出したドリンク
京都宮津港の貝 あおき農園の新玉ねぎ
目の前で将来のグランシェフたちがセルクルに入れたり、バーナーで炙ったりしていたのを見ていたので、中身は知りながらも興味深い一皿。
シンプルですが印象的なお料理でした。宮津港のホッキ貝に青木さんの玉ねぎを乗せバーナーで炙り味に深みのアクセント。目の前で温かな浅利のコンソメを注い仕上げ。貝類の濃厚な旨味とまた違う玉ねぎのジューシーな旨味が合わさり旨味の協奏曲のような味わいが広がりました。食感と味わいのアクセントに砕いたピーカンナッツ。
京筍 ホタテ 豆 行者にんにく
ホタテ、ホタテ、ホタテな一皿。ホタテの旨味炸裂な一皿。ホタテのムースの中には、万願寺とうがらしのムースがひかれ、その上にはホタテのソテーが重ねられています。ここにホタテの紐で作った泡を丁寧にのせ、ホタテ・ワカメ・オニオン・ジャガイモで作ったふりかけが濃厚な旨味をと食感を加えています。本来捨ててしまうホタテの部位を旨味に変えサスティナブルな取り組みをした今を感じるお料理。
緑茶にわさびのアクセント
爽やかな清涼感のある緑茶でした。ふりかけのチップも爽やかに。
平鱸 トマト
ソースはトマトのエキスを煮詰めた野菜出汁のソースで、優しい甘さです。トマトのエキスって、基本はトマトを越してエキスを抽出するんですが、トマトり味と香りのついた透明のエキスが抽出できるんです。濾した後はトマトの赤い部分が残る。これは最初に登場したトマトのスナックに使っているんだそうです。食材の循環はホタテのふりかけだけでなく、こんなところにも使われていました。環境への意識が高いですね。
螺鈿に輝く優しい火入れのヒラスズキは口の中でとろけるよう。野菜の出汁は、優しい火入れの魚をその旨味で美味しくいただくことができました。
カモミールとほうじ茶
はじめカモミールの味が強いんじゃない?って思ったんですが、ほうじ茶が入っているので強いカモミールでしたが下に変に当たることはなくいただきました。トマトのソースとの相性もなかなかのも。
焼きたてのパン。これ熱々です。皮も香ばしく香り高い。
このパンは、ボルディエのバターとフォアグラの料理で使った伊根満開の酒粕を混ぜたバターでいただきました。
国産黒毛和牛 菊芋 せり
サスティナブルな取り組みはメインのお肉にも。経産牛の赤身を使ったものでした。二週間ほど熟成させた旨味がしっかりしたお肉でした。ソースはポートワインを使った甘味のあるもの。ここは王道ですね。ガルニチュールは、菊芋のグリルの上に、セリと西洋わさびのピュレ。そしてしっかりした味わいが楽しめる揚げた菊芋で。
葡萄ジュースに軽い香りのニュアンスを添えて。
古代米
最後は伊根満開と同様古代米を使ったいにしえの味わい。これをリ・オレというスタイルで出してくださいました。
旬ですね。可愛らしくさくらんぼ。しかしながらリ・オレとはチャレンジングですが、きっと赤米を使っているからか、技術が優れているからか。リ・オレの嫌なイメージを払拭してくれるデザートでした。
ババ
最後はキョウトらしく抹茶の生地にラベンダーの香りのついたガナッシュ。
プティフール
あおき農園のディル 彼岸山そよご蜂蜜 マカロン
西込さんの完熟レモンマドレーヌ
感じたのは京都という視点もしっかり持たれていること。コロナ禍でのオープンだったこのレストラン、そしてホテルですが、さらに京都の風土や食材に触れ、その技術を活かした料理を生み出していかれるのだと注目したい思います。
ジャンルで言えばイノベーティブともいえるのかもしれませんが、基本はザ・王道のフランス料理。今後どのように京都の地と融合するのか。オリジナリティ溢れる浅野料理の進化が今後ますます楽しみですね。
滞在して感じたのはホテルのホスピタリティの高さです。とても素晴らしかったのですが、それはきっと厨房やレストランのサービスの皆さんにも浸透しているはず。
フランスで多くを学んだ浅野シェフの背中を見て、そして常にゲストの視線を浴びながらも、美しく仕事をしていく若きシェフたちの成長も楽しみ。素晴らしいチームができていくであろうワクワク感がたまらないレストランでした。
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・京都の滞在は三井家ゆかりの地にある『HOTEL THE MITSUI KYOTO』
京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284
075-468-3166
都季 (イノベーティブ / 二条城前駅、丸太町駅(京都市営)、烏丸御池駅)
夜総合点-